恋と仕事とダイエットとストレスと。

　21時（1,106kcal）
　ちゃんこ鍋/長ねぎ/うどん/卵



この日はカウンセリングを受けるはずだった。

そう。
私は相当追い詰められていたし、完全に鬱症状であった。

鬱ってのは、そんなに簡単に言えることじゃないし治らないのよ。
そういう人もいると思うけど、原因不明の涙や吐き気は鬱である。

ただ単に私は、生まれてからずっと死ぬことを四六時中考えていて、
それ以外の生活がないから、「追い詰められた」ということだけであって、
そもそも論として、期待も希望もないものとして考えているから、
「幸せ」ってものがあると思っていない人間だってだけだ。

他人から裏切られても、他人から騙されても、他人から虐げられても。
まぁ私の人生なんてそんなものだ、としか思わないのだ。
そもそも論として、私は自分に期待なんてしたことがない。
口では何とでも言えるから、適当なことばかり言ったりはするけど。

まぁだからハルちゃんと付き合えているのだろうと思う。

彼は（私からすれば）理想がやたら高い。
そうあるべきだと思うのは障害のせいか、それとも性格はわからない。
でもその原因がどちらであっても、それ以外であっても関係はない。

私にとっては、「そういう人」であるし、いいことでも悪いことでもないのだ。
私が傷ついていても悲しくても、彼が私の話ひとつ聞いてくれなかったとしても。
無視されたとしても否定しかされないとしても、彼がどうこうという問題ではない。
そもそも私の問題であって、話し相手に選ぼうとした私にも原因があるのだ。

私の周りには誰も、ただの一人でさえ聞いてくれる人がいないから、
カウンセリングを受けようと思ったのだ。

まぁ、結局向こうの都合でキャンセルされたけど。
それさえもどうでもよかった。そういう運命なのだから仕方ない。

「幸せになれないよ」と、何人もの人が私に言った。
幸せになることに意味があるとしても、私が幸せになれないことに何の意味があるのだろう。

人はいつか死ぬのだ。
何かを為したとしても、何一つ為さなかったとしても。
どちらにせよ、いつか死ぬし、必ず死ぬ。

予約していた美容院には行った。
バサバサに傷ついていた髪をバッサリと切った。
髪が長いほうが似合うんじゃないと彼は言ったから伸ばしたけれど、
ダイエットしてパサパサになった髪に文句を言うことしかしなかった。

足が太い。胸が小さい。
髪が傷んでいる。
財布がダサい。
部屋が散らかっている。
食事も文句しか言われない。
彼の食生活に合わせていたら、体中からぶつぶつが出てきた。

なにひとつ、たったひとつでさえ褒められなくて、私は疲れ果てていた。

家族も同僚も、元同級生も彼氏も。
好きなことばかり言って、私の悲しみを気づいても否定してくる。

もう誰もいなくていいや、と思った。
明日、死のうと思った。
でも死ねると思ったから、何も必要ないなと思った。

だから髪を切った。
節約を考えて、いつもの美容室ではなくネットで初回割引の店を調べた。
まぁ値段相応の店だった。

どんなに努力しても、どんなに心を砕いても。
それは私の問題でしかない。

ハルちゃんは
　アフロにしたら？
と、何度も何度も私に言う。

人の気持ちを泥だらけの靴でぐしゃぐしゃにしてくる。

伸ばした髪は、彼のよく言う言葉だと、「ゴミクズ」みたいなものだった。
まぁゴミクズみたいな人間に、誰かを批判する権利なんてない。
だからもう何も期待しないし、何も為そうとは思わない。
別に誰に嫌われても憎まれてもいいや、と覚悟できた。




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