恋と仕事とダイエットとストレスと。

　19時（2,001kcal）　
　夏野菜カレーライス/トンカツ（ひれ）/サッポロ　ドラフトワン３５０ｍｌ×３本


この日はおうどんを食べに行くってことになっていた。
ヒマワリは連休に入ったからだ。
平日しかやっていない、昼から麺が売り切れるまでってお店だ。
夜の営業はやっていない。

この日はとても悲しかった。
出かける前に、ハルキチがムカつく発言をしたからだ。
ある芸能人が財布を持っていないってテレビをやっていた。
コンビニのナイロン袋がお財布代わりなのだ。

　これは・・・ひどい。キレイでもこれはちょっとひくわ。
　いいんだよ。
　なんでよ。
　そもそも可愛かったらお財布なんてなくてもいいんだから。

　・・・・どういう意味？
　だってイイ女だったらおごってもらえるでしょ。だからこれでいいんだよ。

イイ女だったらお財布がいらない。

へー・・・。金の稼げない彼氏の分まで支払っている彼女に言う言葉かね？（心の声）

ハルキチのアホ発言は聞こえないふりをした。
あまりにムカついたからだ。

　お財布買いたいわぁ。

ヒマワリが今持っているのは、大学生の時に買ったが使っていなかった財布だ。

　なにその財布。
　買いに行けないから、使ってなかったの使ってるんだよ。
　ﾌｰﾝ。

（ヒマワリの財布を見て）

　・・・・なんかダサくない？買ったら？

(ﾟДﾟ) ハァ？？？？？

あまりにムカついた。

イイ女だったら財布がいらない。
その財布ダサい。

ムカついたが我慢した。
お金がもったいないから買っていない。
本当は買いに行きたいけど、交通費もかかるし、何かで出た時でいいかと我慢する。
それほど節約節約と日々思っている。

外食に行く前に、お前はお金も持たずに、支払いをする彼女にケチをつけるわけか。

イイ女じゃないからね。
ブスだからね。（元）デブだからね。病気だからわからないから我慢しないとね。

ぐるぐるぐるぐる頭の中で回る言葉を我慢する。
言っても仕方ない。
言っても、じゃあ行かないと逆ギレするだけだ。
そんでもって「死にたい」って言いだすだけだ。

店まで真夏のアスファルトの上を歩く。
イライラするハルちゃんを待たせるわけにもいかず、化粧もせず。
汗が流れる中、日焼け止めを塗れば、肌はエライ被害になるはずだ。
ヒマワリは日傘をさして、ハルちゃんはビーチサンダルで、二人で並んで歩いていた。

悲しくて悲しくて、行かなきゃいけないことも悲しくて。
せっかく出かけるんだからスカートをはいてみて、自分のブサイクさに涙が出た。
ハルちゃんは私のこんな気持ちには全く気付かない。

我慢しなきゃ。我慢しなきゃ。と呪文をつぶやく。

私は一体、何のために生きているんだろうなぁ。
夏でよかったなぁ。ハンカチで顔を拭いていてもバレないもの。

暑さと自己嫌悪と後悔とで、どんどん気分が悪くなる。
それでも私のカレシは私には気づかないのだ。

吐き気がしてきて、夏のせいだと思った。

そこでやっとハルちゃんは気づいた。

　しんどいんだったら帰ろう？
　いい。

この人は悪くない。
この人は悪くない。
悪いのは全部私で、私は今すぐ死ねばいい。

そう思いながら、無理やり歩いて店まで行った。
会話はなにもなく、食事中ももちろん会話は無く。

帰り道にソフトクリームを食べた。
なぜか手が恐ろしいまでにドロドロになっているハルキチを見てちょっと笑えた。

　なんで笑うの？
　なにゆえそれほどの被害が？
　わからんよ。
　ティッシュをどうぞ。
　いらんよ。今は意味がない。

笑っている私を見て、　楽しい？と聞いてきた。
　おもしろいよ。
　おもしろいのか・・・。
　おもしろい以外に何がある。

　・・・・うどん食べに来てよかった？
　うん。
　ソフトクリーム食べたから？
　うーん・・・。夏っぽいからだよ。

夏だなぁと思った。
暑くて、ソフトクリームはドロドロに（ハルちゃんのだけ）溶けていて、アスファルトは焼けている。
お家について、喉が渇いたというハルちゃんに三ツ矢サイダーを出した。

　おぉ・・・。夏だね。
　いつもはコーラだけど安かったんだよ。１．５Ｌで１１８円だ。

ふーん、と全く興味なさそうな相槌が返ってきた。
二人で氷をたくさん入れたグラスにサイダーをつぐ。
シュワシュワと飛び散る泡と、クーラーと、まぶしい日差し。

　夏だね。
　うん。夏だよ。

夜はカレーライスを作るって話になったが、ハルキチの盛りつけセンスの無さに驚愕した。

　これは・・・ひどいですな。
　だから盛りつけの才能はないっていったじゃん。

夏だ。
嫌なこともいいことも、もう二度と戻ってこない夏だ。
悲しいことを伝えることは、いまだにうまくできないけれど、
大喧嘩をして何も覚えてないよりはちょっとはマシだ。

夏だったなぁ。