恋と仕事とダイエットとストレスと。

　23時（960kcal）　ちゃんぽんめん


前日に台風が来た。
トーキョーさまで行かなきゃいけないのに大丈夫か。
と思ったら、意外と大丈夫だった。

でもさ。
たまに思うのだけど。
台風とか警報出てたとしても大人たちは仕事に行くよね。
あれって当たり前っちゃ当たり前なんだけど、「警報」なわけだよね。
地震が来ても、津波が来ても、台風が来ても、雷が鳴り響いても。
大人たちは仕事に行く。
変なの、とちょっと思う。

結婚式の当日入りを予定していたのだけど、前日入りの方がいいだろうって話になっていた。
父親と従兄弟が実家から出るために、バスの時間がわからないからと電話があり、
何時のに乗ってチケットを緑の窓口で・・・と説明する。
大人なのに・・・。老人の世話は大変だ。

仕事を終えて、新幹線に乗って、トーキョーさに向かうも、親と連絡が取れない。
どいつもこいつも電話に出ない。
なんとか父親にだけは繋がって、「お母さんの携帯の電池が切れてる」と言われた。

当然２時間半後には充電しているだろうと思ったのに、
「電源が入っていないため・・・」と携帯のムカつくアナウンスが何度も流れる。
東京駅で、本気で帰ってやろうかと思った。
何より私は弟に直接「出席してください」と言われていないのだ。

そしてやっぱり常に電話を携えている、年に２、３度携帯を落とす父親にだけは繋がった。
母親に電話を代わってもらって、どうしたらいいか尋ねると、とりあえずホテルに来いと。
まぁ住所は弟からのメールで来ていたけど、親族が何号室にいるかもわからんわけですがね。
そして、なぜ電話を充電しないのだ？と尋ねると、「それどころじゃない」と言われる。


それどころじゃない。


それどころじゃない。


頭の中で何度も反芻してみたが、私はこの１、２ヶ月の間、不機嫌な母親の機嫌をなだめ、
結婚式に出ないかもしれない父親を説得し、連絡を直接もらっていないと怒り狂う妹を説得し、
実家に帰って着付けの練習をさせられ、弟にも説明をして、一度も文句を言わなかったはずだ。
家族の中で一度も文句を言わなかったのは私だけだったのだ。


それどころじゃない。


両親と従兄弟の新幹線チケットを手配し、弟ではなく渡したのは私だったはずだ。
バスのチケットまで用意して渡し、今朝は時刻まで調べて
仕事を終えて、ご飯を食べる暇もなく３時間以上の時間をかけて慣れない東京に着いた。


ふむ。
それどころじゃない。

お前のことどころではない、って話だ。

親族は鉄人のお店で中華を食べ、私はご飯も食べずに着いた。
そして、「おねえちゃんに言うと怒るから黙っておこう」と言っていたらしい。
黙っておくなら、私がその事実を知るようなことをなぜするのだろう。

久々に会った従兄弟に、ことの顛末を伝えると、「大変だったなァ」と言われる。
他の従兄弟にも食事をしてない旨を伝えると、「僕のサンドイッチ食べますか？」と差し出された。
その二人のおかげで、私はなんとか結婚式を欠席すると言う考えを押しとどめることができた。


ヒマワリはひとりでご飯を食べに行かない。
自分ひとりで美味しいと思うものを食べるなら、自宅で餌を食べても同じだと思う。
誰かと時間を過ごすためにお金を使う。

しかし、誰がご飯を食べていなかろうが、私がどこに行こうが誰も関知しないのだと思った。

誰かに何を思われるかわからないという外聞のために行かなかったのではない。
食事は「誰かと楽しく食べるために」あるのであり、それ以外は餌でもいいのだ。

別に太ろうが痩せようが死のうが、家族さえも「それどころじゃない」のだから、
夜中にリンガーハットに入って、ひとりで大盛りを注文して食べる。
今までずっと守ってきたルールを破っても、とりたてて大した事ではなかった。
ハルちゃんも常に言っている。
「ひとりで行けばいいじゃない」と。

別に焼肉だろうが、飲み屋だろうがひとりで行こうと決めた。

どうでもいいのだ。いろんなことが。
ルールなんて自分の中で大切にしているだけであって、他人にとってはどうでもいいことなのだ。

日付も変わり、タクシーでホテルを離れ、弟の自宅に行く。
（弟はその日、スイートに泊まっていた。）

「そういえばあんたご飯は食べたの？」と母親が言い出した。
「どうでもいいよそんなこと。」と答える。