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恋と仕事とダイエットとストレスと。

いかにしてお金をかけずに痩せたか。 痩せてもまだまだ悩みは続く。

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やさしさのかたち

やさし・い【優しい】
[形][文]やさ・し[シク]《動詞「痩(や)す」の形容詞化で、4が原義》

1 姿・ようすなどが優美である。上品で美しい。
2 他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである。
3 性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。
4 身がやせ細るような思いである。ひけめを感じる。恥ずかしい。
5 控え目に振る舞い、つつましやかである。
6 殊勝である。けなげである。りっぱである。

(Yahoo!辞書より)


ハルちゃんは発達障害だ。

無職で今まで仕事に就いたことがない。
高校中退、最終学歴中学校のひきこもりだ。

・・・・と言うのがインターネット上での彼の自己紹介である。
はっきり言って気持ちの悪いやつである。
何がって「中卒」でも「ニート」でも「ひきこもり」がでもない。
それを見ず知らずの人間に意気揚々と言っている(感じ)がである。

人は誰でも社会的なものや、外見的なものである程度のことを判断する。
学校では長く「それはよくないことだよ」と教えられていても、だ。
だからインターネットではそれを取っ払った、対人間であればいいと思っている。
少なくともヒマワリはそう思っている。

年齢を聞かれたり、仕事を聞かれたりするから。
それを自己紹介に書けば楽でしょ。
それだけ聞けば、確かに合理的な意見ではある。
でも何かが違う・・・とヒマワリは思う。

端折りすぎているから、話している相手はホラ吹きのように感じることがある。
ハルちゃんの話の中には、家が建つくらいのレコードを買っただとか、
友達がいないと言うのに、誕生日に百人以上の人間が集まるパーティーを開いてもらったり、
(実際にはもっとたくさんの人間かもしれない)
外国に二年ほどいただとか、バンドをしてたって話がちょくちょく出てくるからだ。

ブログなどの交流で、ヒマワリよりちょっと長くハルちゃんを知っていた人は、
ハルちゃんをお坊ちゃまのニートで、不幸なふりをしていると思っていたようだ。

ハルちゃんは「事実だから」と言うけれど、正確には事実ではない。
通信で高校は卒業しているし、専門学校も出ている。
バーの店長をしていたこともあるし、DJで相当稼いでいたこともある。
友達はいないけれど、「集まり」があってそこにはハルちゃんを知っている人がたくさんいる。
いわゆるチーマー的な(池袋ウエストゲートパーク的な)遊びをしていたからだ。

外国にいたのも本当で、フランス語と英語がちょっとは喋れるらしい。
タツーも入ってるし、IQも高いし、175センチだし、漫画のワンピースが好きだし、
オセロは小学生以下の弱さで、(でかける予定がないから)ひきこもりの無職である。

ハルちゃんは正義感が強いというけど、自己申告だからなぁと思っていた。
電車で通話し続ける男にムカついて携帯を曲がらない方向に逆に折ったことがあるらしい。

しかし、その話だって多分本当なのだ。

ついこの間は痴漢を撃退した(らしい)。
撃退というのは聞こえがいいけど、目の前に痴漢がいたから膝を蹴り飛ばしたらしい。
ヒマワリの家に来る途中、(外見の)ガラが悪い彼は電車の空気を凍りつかせた。

ヒマワリ蹴っちゃだめだ!ヽ(#`Д´)ノ とヒマワリが言うと、
ハルだってガッツリ痴漢してたんだよ。俺座ってたし・・・蹴るでしょ。

ヒマワリうーん・・・。蹴っちゃダメだけど、痴漢は悪いことだからなぁ・・・。

嘘は言わないのだ。
ただ大体において表現がショートカット過ぎる。

今のハルちゃんはヒマワリと話をしていたら「普通」である。
ちょっとデリカシーがなくて、ちょっと空気が読めなくて、ちょっと図々しい。
たまに頑張ってやさしいが、ピントがずれている。
でもそれは「記憶」して、ヒマワリの嫌がることをやめたからだ。

一番最初に電話した時は、(今思うと滑稽だけど)声が震えていた。
ひきこもって4年ほど。
家族と、昔から知っている先輩数人以外とは、知らない人と話をしていなかった(らしい)。

医者と、コンビニの店員くらいしか言葉を交わしていなかった(らしい)。
それだってYes Noくらいしか話していないのだろう。

今だって疲れている時にはコミュニケーションが辛いらしい。
最初のうちはそれがどうにもこうにも悲しかったけど、
ヒマワリには頑張って接してくれるのがわかるようになった。

昔のハルちゃん。
ちょっとヤンチャで、一人でいることが多くて、授業中に寝ていたりする。
でもサッカーはうまくて、成績がいい。遅刻ばっかりなのに。
年上の女と付き合っていて、友達(に見える人)もオシャレな人が多い。
音楽のことも映画のこともよく知っている。

私の知らないハルちゃんは、クラスにいたら陰で人気があったと思う。

でも今のハルちゃんは何もかもに疲れている。
ヒマワリに経済的負担、たまに精神的な悲しみを自分が与えていることに。
上手く表現できない自分のことに。お母さんとの関係に。
そして開けるように思えない未来に対して。

ヒマワリは、「何もしなくていいよ」と言っていた。
疲れるなら、悲しいなら何もしなくていいじゃないのと思っていた。

それは大きな間違いであった。

ずいぶん前に録画していた『筆談ホステス』のドラマを見ていてわかったのだ。

ドラマの中には「なにもしなくて、家にいたらいいのよ」というお母さんがいた。
主人公にとっては「なにもしないまま人生を終えろ」と言われたのと同じなのだ。
周りの罪悪感や優しさは、相手にとっての残酷な宣告を与える。

なにもできないと思っていることを。かわいそうだと思っていることを。

小さなことでいいから、誰かの役に立ちたい。

小さな時に、そう思ったことはなかっただろうか?
力があったら、強さがあったら、誰かの役に立つことができるのに。
そう思ったことが、私にはなかったのだろうか?

それなのに私はハルちゃんに、残酷な「ヤサシサ」を押しつけていたのだ。
たやすく使えるヤサシサを。彼の可能性を無視した易しい選択を。

誰だって。どんな人だって。
意地悪に見える人だって、か弱く見える人だって、
お金持ちだって、貧乏だって、美しい人もそうでない人も。
幸せになりたい。やさしくして欲しい。

そして誰かに必要とされたい。きっと。

誰かのために生きるのは美しく見える。
自分を正当化し、自分を褒められる。
でも相手がどう思っているかは別の話だ。

どんな人でも、みんながそれぞれに可能性を持っている。
できないこともたくさんある。できないことがわかると言うのも一つの答えだ。
失ってしまったこともたくさんある。そのかわりに得るものもあるのだ。

自分がしっかりしなければという気持ちばかりを奮い立たせるために、
そんな簡単なことを、冷静になればわかることを忘れてしまっていた。
可哀想だと思っていたのは、頑張っている自分自身であった。

やさしさの形なんて答えはないのだけれど、
とりあえず自分が幸せであることを確認しようと思う。
ご飯が食べられて、動く体があって、少しくらい誰かの役に立つことができる。

そして私の役に立ちたいと思ってくれている人もいる。
それが実るかどうかは別としても、それはとてもやさしい形だと思う。

ハルちゃんが幸せになったらいいなぁと思う。

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